第八回(2021年度) JPEAアウォード | JPEA(一般社団法人 日本プライベート・エクイティ協会)
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第八回(2021年度) JPEAアウォード

受賞案件

日本に活力を与える外国人材を増やしま賞

賞名 日本に活力を与える外国人材を増やしま賞
対象案件/会社 ISIグローバル株式会社
ファンド 株式会社日本産業推進機構
選考理由 ISIグローバルは、1977年に長野県で創業した留学生向けの日本語学校運営会社で、東京、京都を含めて5つの学校を運営し、4,000名以上の留学生の受け入れキャパシティを有する国内最大規模の日本語学校グループとなっている。同社は現在まで累計30万人の卒業生を送り出しているが、コロナ禍で日本に来る留学生が激減し、財務的な困難に陥った同社に対して、NSSKは2021年10月に持ち分の過半を取得し事業を承継した。

投資実行後は、経営人材を投入し、デジタルマーケティングを開始するなど経営の近代化と効率化を行い、更に同業のロールアップM&Aを行っている。小規模な日本語学校が多い当業界で規模を大きくすることにより、効率的な運営を可能にしてきただけでなく、優秀な教員の確保をも可能にし、更に成長する土台も築いている。留学生を劣悪な労働環境で働かせるブラック企業の存在が社会問題化している中で、学生寮を用意したり、アルバイト先や卒業後の優良な就職先も紹介するなど、留学生の生活の支援をもしている。コロナ禍も収まりつつある中で、学生の受け入れも再開し始め、業績を急回復させただけでなく、更なる成長に向けた足場を構築してきている。

少子高齢化が進む日本において、若い優秀な外国人材を日本に迎え、定着させることは、地方の活性化にも繋がるし、今後の日本に活力を与えることになる。このような日本にとり大きな社会課題を解決するような事業に着目して投資したことに鑑み、この賞を授与することに決定した。

はばたけ日本のユニコーン賞

賞名 はばたけ日本のユニコーン賞
対象案件/会社 Spiber株式会社
ファンド カーライル・ジャパン・エルエルシー
選考理由 Spiber社は、2007年創業の山形県鶴岡市に本社を置くスタートアップ企業である。
慶應義塾大学先端生命科学研究所で研究していた関山和秀氏が、世の中で最も強靱かつ伸縮性にも富むとされる「クモの糸」を人工的に作ろうという発想から「クモノス(QMONOS)」を開発し、世界初の人工合成による構造タンパク質素材「Brewed Protein™️(ブリュード・プロテイン™️)」の量産化に成功した。
Spiber社が開発したこの新世代バイオ素材は、カシミア、ウール、毛皮、皮革、シルクなどの動物由来・石油由来の素材の代替として使用できることから、アパレルブランドなどから大きな注目を集めている。加えて、生産における省資源・温室化効果ガス削減など環境面でも多くのメリットがあるため、輸送業界など幅広い業界からサステナビリティの課題解決に貢献するものと注目されている。
Spiber社のようなスタートアップ企業は、ともすればスケールをとる前に上場してしまうことが多い。その原因として、わが国にはグロースステージの領域におけるリスクマネーの供給が足りていないことがあげられる。今回、カーライルの日本特化型ファンド「カーライル・ジャパン・パートナーズ」がこの領域の投資に取り組んだことは、わが国のPE業界にとって画期的なことだと評価する。本件は、カーライルにとっても初のマイノリティー成長投資であるとのこと。ガバナンスの点からSpiber社に社外取締役を出すなど、グロース領域において、投資の経験やノウハウをさらに蓄積し、わが国で大きく羽ばたく「ユニコーン」創出につなげてくれることを期待する。

認知症があってもQuality of Life推進賞

賞名 認知症があってもQuality of Life推進賞
対象案件/会社 株式会社プラティア
ファンド J-STAR株式会社
選考理由 日本では介護を必要とする高齢者が年々増加しているが少子化で家庭内介護も容易ではなく介護事業者の介護施設を利用することになる。一方で認知症早期診断の推進などを背景に認知症高齢者は2020年には631万人に、2025年には730万人に増加すると推計されているが、専門性を要する認知症ケア施設グループホーム事業には一般的なデイサービスや老人ホームに比べて大手の参入が遅れており中小事業者が多いフラグメントな事業であった。

プラティアは社会的意義高い認知症ケア施設グループホームを2003年に創業したが、当時推計100万人台であった認知症高齢者は年々増加している状況の中で、この社会的意義高い事業をどのように継続できるのか、後継者不在と個人経営の限界を考えた創業者は事業承継も視野に入れて成長持続を支援出来るパートナーを検討する中でJ-STARが投資決定した。投資後はファンドが得意とするロールアップ、外部からの経営人材採用、地域密着した展開で雇用拡大を行い事業承継完了し、エクジットは大手介護事業者ニチイ学館への譲渡によって実現し創業者の想いに応えた社会的意義ある投資となった。

昨年亡くなった認知症治療の第一人者精神科医長谷川和夫さんは、自らも認知症であると公表したが認知症の人の立場を何よりも大切にし「痴呆」という 用語を「認知症」に変えることにも尽力した。人が尊厳を持って生きるには認知症があってもQuality of Lifeを推進する投資として賞を贈ります。
また、J-STARはプラティア投資の知見を活かし、今年度もESGに適う介護関連事業八千代ケアサポートに新規投資したことも評価します。

大企業を離れて立派に成長しましたで賞

賞名 大企業を離れて立派に成長しましたで賞
対象案件/会社 株式会社WorkVision
ファンド ベーシック・キャピタル・マネジメント株式会社
選考理由 PEファンドにとって、カーブアウト案件は腕の見せ所である。WorkVision社は東芝グループの中で、中小企業向けのソフトウェア開発、販売を行っていた。グループ内ではノンコア事業として、成長戦略のためのヒト・モノ・カネの経営資源が十分に確保されていなかった。ベーシック・キャピタル・マネジメントの投資を梃に、成長に向けての体制を構築した。

経営の意思決定も積極的になり、ビジネスモデルも従来のオンプレミス主体の事業から、成長が期待されるクラウドシステム・サービスに転換を図った。ベーシック・キャピタル・マネジメントは、増資を引き受け、WorkVision社の自社ソフトのクラウド製品開発をサポ―トした。

企業風土の改革や働き甲斐のある職場とするためのきめ細かい制度改善とともに、人事制度を見直し、柔軟性の高い賃金体系とし、若手層の引き上げや能力が高い外部人材の採用を積極的に行った。

約3年の投資期間で、非常に高い投資倍率とIRRを実現したが、大胆な戦略転換や、収益構造の見直しが功を奏した。東芝が雇用、従業員の福祉の維持を条件にし、ベーシック・キャピタル・マネジメントを投資先として選んだ。買収交渉は1年を要したが、PEファンドのソリューション・プロバイダーの機能が評価された好例とも思う。

大企業病が日本の経済を停滞させている。東芝経営のダッチロールを見ても明らかなように、環境変化に応じて戦略を立てリードする企業経営者がいない。「鶏頭となるも牛後にならない」覚悟で独り立ちを目指す志の高い企業家を支援し、競争力のある事業を輩出することは日本経済にとっても意義がある。

選考委員

委員

明治大学大学院グローバル・ビジネス研究科
専任教授
岡 俊子 氏

委員

株式会社 カドタ・アンド・カンパニー
代表取締役社長
門多 丈 氏

委員

株式会社東京大学エッジキャピタルパートナーズ
取締役会長
茂木 敬司 氏

委員

早稲田大学ビジネススクール
ビジネスファイナンス研究センター
教授
伊藤 友則 氏

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