第九回(2022年度) JPEAアウォード | JPEA(一般社団法人 日本プライベート・エクイティ協会)
Site Overlay

第九回(2022年度) JPEAアウォード

受賞案件

アジアで飛躍賞(総会特別賞)

賞名 アジアで飛躍賞(総会特別賞)
対象案件/会社 OWNDAYS株式会社
ファンド Lキャタルトン・アジアと三井物産企業投資株式会社のコンソーシアム
選考理由 OWNDAYSは高品質の度付眼鏡を手頃な価格帯で販売する日本のアイウェア企業である。
Lキャタルトンと三井物産企業投資のコンソーシアムが2018年2月にマジョリティ投資を行った。コンソーシアムの投資時点ですでに同社は黒字体質でキャッシュフロー上も特に資金ニーズはなかったが、コンソーシアムからのバリューアップ施策提案が株主でもある経営陣から高く評価され投資に至ったものである。
投資に際しては、同社の成長ポテンシャルを最大限引き出すためレバレッジを利用することなくすべてエクイティ投資で行われた。それにもかかわらず高いマルチプル、IRRを実現している。
投資後、コンソーシアム両社の強みを生かした次のような経営支援が行われた。
・両社のワークネットの活用による著名企業からの店舗開発責任者・経営企画責任者・財務経理担当責任者の採用といった経営層の人的強化
・洗練された会計システムを導入し月次連結決算報告体制を確立するなど、経営管理基盤の強化
・香港や中東といった新市場で現地パートナーを紹介
このような経営支援の結果、
・店舗数は、国内では110店舗から210店舗にほぼ倍増し、海外では106店舗から250店舗に国内以上に拡大。さらに、国内外各地で一等地での出店を成功させ、ブランドの認知度・知名度を向上させた。
・どの店舗でもベテラン検査員から検査を受けられるようにするリモート検眼機能の導入、バーチャル試着機能などデジタル技術により購入体験を革新するなど、店頭オペレーションにフォーカスしたDXを推進し、生産性の改善を実現した。
・その結果、連結の売上高は4年で1.7倍以上に、また海外売上高比率も60%に拡大した。
コンソーシアムからの積極的な支援を背景に日本企業からアジア企業へと発展したが、さらに世界企業へとの発展を睨み、インドでテック系スタートアップ企業として創業し、KKRやSoftbank等から出資を受けて企業価値45億ドル、年間1,000万本以上のアイウェアを出荷するアイウェアメガベンチャーとなったLenskartへ株式を譲渡し、エグジットを完了した。
Lenskartへのエグジットによって、日本の優れたサービスとインドの高いIT技術が融合し、アジア域内13市場に総店舗数1,500店舗、2,000万回以上のアプリダウンロード数、300名以上のリモート検眼技師を有する同地域最大のオムニチャネルアイウェアチェーンが誕生した。
社会貢献の面においても、東日本大震災等の災害によって眼鏡をなくしてしまった人たちや眼鏡を購入できないアジア途上国の人たちに眼鏡を無償提供する活動に加え、ひとり親世帯の子供や離島の子供に眼鏡を無償提供する活動を開始した。

以上のように、PEファンドからの投資・支援によりアジアでも飛躍できる企業に成長させたことは表彰に値する。また、エグジットにより、今後さらに世界でも活躍する企業へとさらなる発展を遂げることを期待する。

受賞インタビューはこちら

ソーシャルインパクト賞

賞名 ソーシャルインパクト賞
対象案件/会社 ソーシャルインクルー株式会社
ファンド ポラリス・キャピタル・グループ株式会社
選考理由 重度障がい者を中心とした方々が支援施設への入居を希望するも、施設不足を背景に多くの障がい者が待機を余儀なくされるという深刻な社会問題が昨今取り沙汰されている状況。ソーシャルインクルーは「住まいで困っている障がい者が『0』の社会を創る」という理念を掲げ、重度障がい者の受け皿となる日中サービス支援型グループホームという新境地を切り開いてきたパイオニアであり、2018年に制度化された日中サービス支援型グループホームのパイオニアとして急成長を遂げてきている。ポラリスはグロース・バイアウト案件として2022年11月に同社の過半持分の取得を行った。

ポラリスは、同社に対してオペレーションの均一化、暗黙知の見える化、DXを活用したビジネスモデルイノベーションの推進などの経営ノウハウと資本のサポートを行い、同社を「入居者とその家族に永続的な安心、そして支援する従業員に安定した処遇と職業としての更なる機会を提供する」サステイナブルな企業として成長させることを目指している。

社名が「ソーシャルインクルージョン」から由来していることからも明らかな通り、”すべての人々を孤独や孤立、排除や摩擦から援護し、健康で文化的な生活の実現につなげるよう、社会の構成員として包み支え合う”という「社会的包摂」を担う本件は高い社会的使命を担っている企業への投資案件である。従来、行政機関による福祉やNPOによって担われていた分野において、社会課題解決を図るソーシャル・リターン(インパクト)とフィナンシャル・リターンの両立を図る本案件のビジネス・モデルは、今後の同様のインパクト投資の重要な先例になるものと評価し、この賞を授与することに決定した。同社の今後の更なる成長と同様のインパクト投資案件の増加を期待する。

受賞インタビューはこちら

選考委員

委員

明治大学 大学院グローバル・ビジネス研究科
専任教授
岡 俊子 氏

委員

MCPアセットマネジメント株式会社
マネージングディレクター
小林 和成 氏

委員

株式会社東京大学エッジキャピタルパートナーズ
監査役
中本 和樹 氏

委員

早稲田大学
商学学術院 教授
平野 正雄 氏

PAGE TOP